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問 い 合 せ

第1回  標準教程研修会  研修内容まとめ

研修部  辻本 忠和 理事

開催場所:(生駒市)北コミュニティセンターISTA はばたき

 

 

〈解説編〉

立禅

     中国では「站樁功」(たんとうこう)と言う。
立ち方、開立歩(カイリィブ)、首・肩・肘をゆるめる。ゆるめ過ぎて倒れないくらいにゆるめる。

首が前に垂れないように頭頂を天から吊られたように意識する。あやつり人形のように。それによって「虚領頂勁」ができる。

この時に「泥丸宮」を意識する。
「泥丸宮」は左右のこめかみの中、「百会」の下、眉間の「印堂」の中にある。
「泥丸宮」を意識することで首が程よくゆるむ。日本ではあまり知られていない。
宮本武蔵の「五輪書」の中にも、「少しおとがひを出す心なり(アゴを下げたり引き過ぎないこと)」とある。少し上げると重心が後ろへ行き、つま先に乗らなくなる。
腕は身体にピッタリ付けず脇は少しあける。他の武術は脇を締めるが、太極拳は円の動きで肩関節に弾力を持たせるために少しあける。

手は虎口(フーコウ:親指と人さし指の間)をあけて体側にそわせる。虎口を内側に向けるのは楊名時太極拳の特徴。

立禅の時、手の位置はいろんなやり方がある。中国で代表的なやり方は「三円式」。
手を肩の高さにする。(肘は少し落とす)三円というのは、両手の虎口の円、胸前の円、下肢の円襠の円。

そして気功をする人の中心軸は、両腕の真ん中で、太極拳では頭の「百会」が中心軸になる。

百会中心の場合は、両手を少し胸に寄せて重心がかかとになる。足の裏は柔らかくゆったりと床を踏み、緊

張させない。

目は見開かず半眼にして一点を注視せず、眺視する。だからしっかり見ない、ボーっと見る。

立禅の留意点:(太極拳も同じで)視覚、聴覚を制限する。(余計な情報を入れない、しっかり見ない、外からの音に惑わされないということ。)

体性感覚を利用する。
皮膚感覚、深部感覚(筋や骨の活動)、内臓感覚、つまり感覚を鋭敏にすること。耳を澄ませること。雑音の多いところでは電話は聞きにくい。

そして、五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)のうち、人間は80%は視覚に頼っている。目で見たもので判断しようとする。

それを避けるためにボーっと見ながら立禅したほうが良い。目で見たものを信じすぎる。目で見たものは全て錯覚だと思えばいい。

 

八段錦

 中国に古来から伝わる民間健康療法で、気功法の一つ。宋の時代からあり千年以上の歴史がある。

いろんなやり方があって誰がいつ作ったか定説はないが、湖南省長沙市の馬王堆漢墓(ばおうたいかんぼ)出土の導引図に描かれている。

八段錦の名が最初に見られるのは南宋の時代。北宋の時代には既に広まっていて、座式と立式があった。立式八段錦は簡単に練習できるため、広まった。南宋の時代に可決化され、明・清の時代に大きく発展し清末にかなり完全な動作套路の絵図ができ、この時期から伝統八段錦の動作が固定された。

現在は八段錦は中国の伝統的な健身法として広く一般的に普及している。
どうして今の時代まで残っているかというと健康効果があるから。効果のないものは消えてしまう。

しかし残っていいものでもそんなに広まっていないものもある。例えば「五禽戯」(ごきんぎ)気功法の一つ。

中国の華佗という医者が曹操に投獄され、牢屋の中で、手錠のまま編み出したとされる。

「三円式」の形もその時にできたという話もある。華佗の「五禽戯」も中国では広まった。
「気功」という言葉は最初なかった。「気功」と「武術」は少し違う。

発展の仕方が違って、気功は医療用のものであって人と戦うためのものではない。

では、「気功」という言葉はいつできたかというと、1957年 中国の北戴河(ほくたいが)で気功療養院の院長をしていた劉貴珍という人が「気功」と名付けた。

内気功(体内で気を巡らす)のうち動功(動きのある気功)で「甩手」、静功(動きのない気功)で立禅をやっていた。
○ 気・血・水
気‥主に肺・三焦の臓腑が関与血‥主に心・肝・脾の臓腑が関与水‥主に腎・三焦の臓腑が関与
○ 経絡と臓腑
経絡‥気を流す川(経:縦の流れ、絡:横の流れ)経穴‥経絡の中にある気の集まる場所
臓腑‥経絡を流れる気を受け、生理機能のバランスをとり生命活動を行う
概要はこんな感じだが そんなに詳しく考えなくていい。


〈第一段錦〉双手托天理三焦
三焦は、六腑の一つで気と水の「通り路」を意味する。

上焦は心・肺、中焦は脾・胃、下焦は肝・腎・小腸・大腸・膀胱‥などに分布するという考え。


〈第二段錦〉左右開弓似射雕
左右に弓を引き鷹を射る動きに似る。肩を伸ばし腕を広げ督脈(主に背部正中線の経絡)と背部の兪穴(ゆけつ:背中にある経穴の総称)を刺激する。

同時に手の太陰肺経などの経絡の気を調整する。それと下肢の筋力増強に有効。

 

楊名時太極拳

楊名時太極拳は、簡化24式太極拳から引用された。伝統太極拳にはいろんな流派があり、その中の伝統楊式太極拳でも場所によって人によって教え方が

違う。

簡化24式太極拳は、楊式太極拳をベースにしてラジオ体操のように誰がやっても一定の効果が得られ、動作や幅の大きさが分かりやすく作られた。
楊名時太極拳では、最初の十字手は「予備勢」として入れた。両手を外から上に開き上げ、額のやや上で交差させ 顔前から胸前を通り、左右に分けて

もとの位置に戻す。

上げる時に吸って、下げる時に吐く。

1、起勢(動き出しの形)動作要素:両臂前挙、屈膝按掌
楊名時太極拳では、手の虎口(フーコウ)は体側に内側に向けるが、楊式太極拳では虎口は前に向ける。

そして手を上げる時は、肩甲骨を下げて肩関節で上腕骨を上げる。手を下げる時は、逆に肩甲骨が上がる。重心は下がらない。

なぜか?それはテコの原理だから。しかし、こんな面倒なことはできないので、手を上げて、下がる時に膝をゆるめて重心を下げる…でいい。

両腕をゆっくり前から上に持ち上げて、手首が肩の高さに来たら、手首と肘、股関節、膝をゆるめゆっくり沈み中腰になる。

(上肢と下肢が)一緒に沈む。
今日は、第6式までやりますが、どの動作にも共通して言えることは「協調完整」これができれば太極拳の要求に応えられる。

手と足と重心が協調して動く。協調して動くということは、一緒に始まらない、バラバラに動く。しかし、終わりは一緒に終わって整う。

終わりとは一つ一つの動作の「定式」。起勢、野馬分鬃、白鶴亮翅… などの形が「定式」。でも定式では止まらないこと。

悪い例の一つとして、手が先に動いて止まってから足が動く…とか、足が先に動いて止まってから手が動く…など。
手を前から上げる時、重心が(かかとに)移動して、手が上がる。(手を下げる時は くるぶしまで) どこかが上がると、どこかが下がる。

元々、陳式ではこの上げる手は、「掤」(ポン)。「掤」は膨らむという意味と手法の形としての「掤」と2つの意味がある。

陳式太極拳は馮志強(ひょうしきょう)先生に習った。
起勢の中に「掤(ポン)・捋(リュイ)・挤(ヂィ)・按(アン)」の意味がある。
(先生の実演)これが楊式太極拳の元になった。
手のひらは下に押さえるようにみぞおちから腹前くらいに降りる。この時、収臀。
尾骨を少し前上に巻いて、胯(クァ)を収める(収胯)。胯(クァ)は股関節ではない。骨は自分では動けないからその周りを使う。

 

2、野馬分鬃
起勢の後、右膝を守りながら右足軸を内転筋に乗せるための2つの方法。
ボールを抱える前に右つま先を内に入れる方法と、ボールを抱えて左足を寄せてから右つま先を内に入れる方法がある。

どちらでも良い。

左野馬分鬃の時、右手は「座腕」「座腕」がアンカーポイントになって左手が使える。

「座腕」と「塌腕」(ターワン)は同じ。使う向きが違う。
(注)ボールを抱える:抱球という太極拳特有の手法。腕全体を円く螺旋を描くように構えて両手のひらが上下に向き合う型。

力を込めてはいけないが、萎えすぎるのも良くない。背中から腕全体に少しだけ外側に向かって張りを持つバネのような意識が欲しい。
両手の間隔は "片腕の手首から肘まで" の距離がめやすである。これは足の文数と同じ。
そして、このバネのような張りを持たせるというのが「掤勁」(ポンジン)という。
24式太極拳では、常に持っている。他の太極拳は持ってない。楊式太極拳特有のもの。
鄭曼青(ていまんせい)先生の(起勢の)手は「幽霊の手」と言われ、ユルユル
だった。でもさすが、楊澄甫(ようちょうほ)の弟子だけあって、すごい勁を持っていた。普通はこのバネのような「掤」を持ってないと対応できないが、「掤」を超えたゆるみを持っていた。本当の「空」。「引進落空」の「空の勁」。相手は空を打つだけで何もできない。でも鄭曼青先生だけしかできない。弟子は誰もできないので伝わらない。でも簡化24式が素晴らしいのは誰でもできるから日本中に伝わっていること。
(注2)弓歩:前側の膝を曲げ  ⇒    前7後ろ3の重心配分にした歩型。歩型の横幅は肩幅程度、前後は3足半程度を標準に、体力に合わせて加減する。前後幅を広くとれば脚力鍛錬に  有効だが、膝の負担が増えるので関節位置管理を慎重にしたい。前足のつま先は正面に、後ろ足のつま先は斜め前30度に向ける。内転筋に乗るのも30度、つま先を45度に向ける人が多いが30度。へその向きは斜め。
重心は、前に7、後ろに3、これを「三七歩」という。虚歩は6・4。
(右野馬分鬃)
後ろ足に体重を戻し、前足のつま先をやや上げて斜め外(30度)に開いてから床につける。ゆっくり重心を前足に移して、右足を左足脇に寄せる。左右の手はそれぞれ手のひらを返しながら孤を描いて胸の前で左手が上、右手が下でボールを抱えるようにする。
視線は真横を見る。
真横を向いていない人が多い。どうして真横を向かなければいけないのか?つま先を30
度開いた前足軸で「前歩きの甩手」の要領で、目で先導して手と連動させて後ろ足を寄せるために真横を向く。正面を向いたまま後ろ足を寄せるにはかなりの力が必要になる。  
90度 真横を向いてからでないと前に進んではいけないということ。
野馬分鬃の方向は、旧い方法は斜めに動いていたが簡化太極拳では、分かりやすいように同じ方向に統一した。


3、白鶴亮翅

     動作要素:跟步抱球(右足寄せてボールを抱く)、後座転体(後ろへ座り体を右へ開く)、虚歩分手(虚歩で手を分け開く)
「健康太極拳 標準教程」(99ページ)に「右手が前に上がったとき、視線は右手を追い…」と書いてあるが「眼随手転」から考えるとこれは間違いである。

(手が先に動くのではなく、目が先導して手が動くのが正解。)そして手をジッと見るのではなく遠くを見る。
※ 「眼随手転」は〈実技編〉の最後にも記載しています。


 

実技編

立禅

開立歩(カイリブ)になる時、閉足からすぐ左足を開ける人は  若い人。

正しい老人は右足の内転筋に重心を乗せないと左足が開けない。(”注” 正しい老人とは、一般的な老人のこと)

まず、重心を右足に乗せて(膝をゆるめる)少し右を見ながら左足を開く。それから顔を真ん中に戻して、重心も真ん中。そして、立禅。
息を吸う時、背中の督脈で吸って、上がって、百会を通って上アゴまで。舌先は上アゴにつける。

任脈(アゴから下、会陰までの正中線を通る経絡)で下がる(吐く)。そして、また会陰から督脈で上がる(吸う)。を繰り返す。

簡単に言うと、背中で吸って、お腹で吐く。重心は吸う時は、かかと側へ、吐く時は、くるぶし(内くるぶしと外くるぶしの間の足底)に下す。

身体はそれに合わせて少し揺れていい。
(息を)吸いながら  かかと。吐きながら くるぶし。吸いながら背中。吐きながらお腹…(繰り返してしばらく立禅) ゆっくり直って  自然呼吸。

 

甩手

「後ろ歩きの甩手」目から動く、片足になって真後ろを見る。極端に言うと目が動いて後ろ足の内転筋に乗って、身体が回る。骨盤から回さないように。骨盤から回すと左右の肩も一緒に動いてしまい、背骨がねじれない。

骨盤はなるべく回さずに上体は後ろまで回りたい。骨盤は左右には動くが、回転は10度くらい。前歩きの甩手なら、頸椎は45度、胸椎は35度、骨盤は10度回って(全部で)90度(真横)動ける。特に胸椎上方のねじれ。 「前歩きの甩手」も目から動く、左右を見る。

片足になって沈む。目が向いてないほうの足が上がる。目が向いたほうの足が上がるのが「後ろ歩きの甩手」。

重心が後ろへ移動する時は、背中からバックする。重心が前に行く「前歩きの甩手」は身体から、会陰から前に行く。

アゴは前にあるので、バランスをとるために後ろの足を少しスライドさせる。向いたほうのアゴと後ろの足がバランスするのを感じてほしい。

両足で頑張らない、片足になる。そして、両手は同時ではない。どちらかが先に動く。腰に巻く手が先、上の手が後から動く。

真横から誰かが呼んだと思って振り向く。「後ろ歩きの甩手」は真後ろまで振り向く。そして、肩甲骨を動かす。

膝は内側に入れないこと。(特に後ろ歩きの甩手)

 

八段錦

〈第一段錦〉双手托天理三焦
八段錦は昔からいろんなやり方がある。楊名時先生が考えたものもあるし、足したやり方もある。無理をせずやり易い方法で良い。
私のやり方は、双手(2つの手)は托天、天を向かなければいけない。

しかし、合わせた手は百会の上に来たくないから、上を見て百会を後ろに向ける。それから正面を見て 両手を横から下ろす。

キツい人は、合わせた手は額の前くらいでも良い。あまりキツいと筋肉が硬まるから。

 

〈第二段錦〉左右開弓似射雕
八段錦の素晴らしいところは、ストレッチ効果もあること。太極拳にはない。だから、太極拳をする前に八段錦をやったほうが良い。

ストレッチ効果とバランス効果があるからずっと昔から続いている。

そして、最新型の八段錦を作ったのは、上海の荘元明先生、それが練功十八法。内容は全部八段錦。
弓を引く時は、肘を伸ばしていい。手の形はいろんなやり方があって、我々はチョキでやっているが、パーでやったり、虎口(親指と人差し指の間)を開くやり方もある。

※ 虎口を開くやり方  2種:人差し指と親指を開いて、残りの3本の指を第2関節から曲げるやり方。と 4指を揃えて伸ばし、親指を開くやり方。
健身気功や練功十八法は、虎口を大きく開く。

練功十八法のように4指を伸ばして虎口を大きく開くと、長掌筋(手の手根から肘の内側までの屈筋)の腱がゆるんで伸びる。

外側の伸筋が張って、エキセントリック収縮で腕が伸びる。だから、いっぱい伸ばしたほうがいい。

握る拳は、強く握ると長掌筋が緊張してスジが出るから、出ないように軽く握る。

長掌筋は、他の屈筋で代用できるので、よく野球選手などが、肘の手術の移植する時に使われる。(トミー・ジョン手術)

太極拳でも長掌筋は使わない。 馬歩は収臀にして、膝はなるべくつま先を越えないようにする。

 

太極拳

〈野馬分鬃〉
野馬分鬃を打つ時、後ろの足で地面を蹴ってはダメ。後ろの足で蹴るのは体操。
後ろの足で蹴ると収臀がなくなる。抱球から足を前に出したあと、収臀で重心は下がって(前の膝をゆるめて)進んで上がる。

前の手は、卓球のバックハンド(外旋)で打つ。 重心が下がってるから後ろの足で地面を蹴ると筋力がいる(緊張する)。

そうではなくて(収臀して)会陰から前に進む。そして、退がる時も前の足で(地面を)蹴ってはいけない。

後ろの膝がゆるんで、つま先方向にバックする。そして、前の足つま先30度開く、前の膝がゆるんで前進する。

それから、前の足を踏んで後ろの足を持ち上げないで、目と前の手と身体が回ることによって、後ろの足を寄せる(抱球)。

抱球動作から寄せた足を前に出す時、ドスンと着地させない。

抱球で横を向いた瞬間、後ろの肩と前に出す足がバランスして(軸足の膝のゆるみで)前に出る。

 

「進在会陰、退在夾脊」郭福厚先生の言葉で「進むは会陰に在り、退がるは夾脊に在り」
「夾脊」とは、「華佗夾脊穴」のことで、中国の後漢の華佗という名医が見つけたとされるツボで、胸椎1番から腰椎5番の背骨の両側の溝にあるツボの総称で、左右 各17個、計34個ある。その中の胸椎3番~8番の肩甲骨の位置に当たる夾脊を意識して後ろへ退がる。

背中から退がれ…と言うと、背中が固まって後ろへ雑に退がってしまうが、夾脊(背骨の両側)は、左右だから横の動きも入る(螺旋)。
人間の全身の骨は、全部で約206個あるといわれるが、両手首から先と両足首から先だけで、約100個ある。

これらの骨を全部動かしたいが、骨は単独では動けない。動かすのは、筋肉や腱…など。約600個の筋肉が206個の骨を動かしている。

それを全部使いたい。
太極拳は、「一動全動」(一つ動けば連動して全部が動く)だから。全部使うと有酸素運動で、酸素が全部入る。気血の流れが良くなる。

〈白鶴亮翅~搂膝拗步〉
左野馬分鬃から、右足を少し寄せて(跟步(ゲンブ))、ボールを抱いて、右手を開く時90度見て、この右手は135度開く、右手は視界に入っている。

そして正面見て白鶴亮翅。次に左見て右90度見て、(左足前に出して)左足つま先が降りた瞬間、前を見る。

攻撃する時は、先に前を見る。それから右手が動く。

搂膝拗步:90度見る時はゆっくり見て、手が動いて、前の右つま先が着地したら、すぐ前を見て、前を見てから左手

を前に出す。
攻撃と防御で目を向く速さが違う。バックする時は、夾脊からバックする。

〈手揮琵琶〉
左搂膝拗步から、右手をもう少し前に推して、身体の左回転を利用しながら右足を半歩寄せる。

そして、右90度見ながら右足かかと着地。同時に左手、左足少し寄せて、正面見て、左足かかとで前へ、左手を前に出す。
楊名時太極拳と楊式太極拳は、少しやり方が違うが、前の左手で反関節で相手の肘を採っている。

 

〈倒捲肱〉
倒捲肱も楊式太極拳と手の開き方が違うが、両手は135度開いて目は90度を見る。
そして、退がりながらは打てない。後ろへ退がってから(引進落空させて)、前の手で打つのではなくて、体幹で打つ。
手を開いて、内に寄せてまた開くのは、楊名時先生のバリエーション。化勁表現のひとつで、大きく分かりやすい表現にしている。

   

大きくやってもいいが、大事なことは、退がりながらは打てない、ということに気づくこと。
後ろへ退がるのは、「退歩」と「梅花歩」があるが、「退歩」は前の足の修正は、つま先を軸にして、かかとを動かす。

「梅花歩」は後ろへ弧を描くように退がって、前の足の修正はかかとを軸にして、つま先を動かす。

楊式太極拳のやり方。横幅が取れれば、どちらでもよい。
「眼随手転」は、直訳すると「眼は手の転ずるに随う。」手が先に動いて、手の動きを眼で見る、ことになるが、これは、眼の動きで手と身体を繋げるための戒め。

実際に手をじっと見るのではない。眼が先に動いて、遠くを見ながら身体の動きをコントロールするということ。

拡大図

健康太極拳標準教程より抜粋

著者:楊 進・橋 逸郎

 

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